おとなりさんが回覧板をもってくると「ねえ〇〇が実ってるわよ」といわれる。見に行くと境界線のあたりに、びっちりと赤い実がなっていた。これは迷惑だったろう。
さて、これはジャムになりそうだ。名前を聞いていたが、わすれてしまった。グーグルレンズでしらべる。赤フサスグリというらしい。
葡萄っぽい。作業は正直たのしかった。とんでもない量の砂糖をぶち込んで煮る。すると1時間ほどでジャムになった。冷蔵庫で冷やして、次の日に食べる。ああ、ジャムだ。ジャムって砂糖の味だったんだ。赤フサスグリの酸味は隠し味程度になっていた。
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アマゾンで殺人犯はそこにいるを読む。
ルポが好きだ。魂と人生を投入したルポだった。こんなルポが好きなんだ。
警察や検察にでも間違いはある。それをごめんなさいできるかが大切なんだ。
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居酒屋をやっていたとき、よっぱらいの超ツマランこぜりあいを何度か目にした。
決まって言う文句がある「警察行ってもいいんだぞ!」だ。
自分の正当性を表現しているだけで、もちろん実際に警察にはいかないのだけれど。警察って大変な仕事だとこのセリフからも読み取れる。「民事です」とつっぱねるだけだろうか。それだけではないだろう。一応話を聞いて、刑法にのっとった対応をするはずだ。
今働いている老人施設でも聞いた。昨日のことだ。「警察行ってもいいんだぞ!」と外出すらできない利用者が言う。その喧嘩の原因は「ちょっとそこのティッシュとって」ぐらいのことだった。本当に警察に来てもらったらどうなんだろう。そんな想像をして、ハハッと渇いた笑いが出た。
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仕事の話。割としっかりしている人が「今日は何日で、私はいつからここにいるんだっけ?」と聞いている。ぞっとした。認知が進んだのだ。こうしてゆっくりとだが、老いは進む。
日付が分からなくなり、人が分からなくなり、見えないものも見えてくるようになる。夢の世界に一歩進んでしまわれた。こちらのできることは夢のような世界を演出するぐらいだ。
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知床から戻ってきて1週間が過ぎた。体は思ったほどダメージを受けていない。人の力を借りまくったとはいえ、知床のどまんなかを歩いた充実感が体の中にある。
と、同時に悲しくもある。一番行きたいところに行ってしまったのだ。今度の休みにチャンスがあればオプタテシケにテントを担いで登り、それで想像していた今年やりたいことは大体終わり。
美しいものを見て、胸がわくわくすればいい。山にこだわる必要はない。オプタテシケが終わったら、どんな世界が見えてくるか楽しみでもある。
ワクワクするかどうか、シンプルな話だ。