介護業界は人手不足だという。そりゃ42歳のおっさんを採用してくれるんだからわかってた。
「正解のない世界にようこそ」と言ってくれた人がいた。今半年働いてその意味がよくわかる。
人間相手の仕事なので正解がないのだ。ただ、方向性だけがある。マニュアルすらもすぐに陳腐化する。ぼんやりとした霧のなかで、毎日組手をしている気分だった。
職人が生存できる世界なのだ。そんな世界は楽しい。毎日、毎日組手をする。昨日より、今日改善している。すこしだけ先が見えるようになる。とても新鮮だった。
人手不足による6連勤が終わった。最後は夜勤だった。夜勤は2回目で、今回は先生が後ろで見ててくれるだけ。今日の仕事に点数をつけるなら50点。それでいい。モンエナを飲みながら、4時の眠気の谷を越えた。
8時に家に帰ると彼女が出勤するところだった。ただいま、いってらっしゃい。そして深い眠りにつこうとするが、アメフトがそれをさせない。QBのマホームズという天才が見ているものの時間を止めるパスをくりだす。気が付けば昼だった。
眠気が無くなり、外に出た。とてもいい天気。1月らしい、厳しい寒さと強い日差し。雪が解けて空気がぼんやりと輝いている。カメラを適当に向けてシャッターを押した。大体失敗している。
役場まで走った。「コンイン届をください」という。半年前、ここでハロワの情報ページを探して今の仕事に巡り合えたことを思い出す。役場をでて、歩くようなスピードでジョギングをした。寝不足で頭はぼーっとしているが、気分がいい。スーパーで肉を買いため、家に帰り圧力鍋に放り込む。6日間のおつかれと、婚姻届け貰ってきた記念だった。
