モトハチ(元蜂の宿管理人のブログ)

閉鎖したライダーハウスの元管理人のブログです

東直己の「探偵暁に走る」を読んで思い出すこと

夜勤だった。先月の24日からずっと働き続けており、24時間を超えるオフが無い状態だったのでもうふらふら、おまけに夜勤の友ことモンエナが体にきついくて、3時ごろに1本飲んだら眩暈のような状態になる。でも飲まないと寝る。

16時前から働き、仕事が終わったのは10時近かった。穴だらけの仕事だったと思う。ふらふらと家まで歩き、ビールを飲んで飯食って風呂に入って寝る。昼過ぎになっていたのを確認している。起きたのは15時過ぎだった。

嫁とカレーを食い、明鏡止水の最終回を見て、やることがなくなったのでゲームをする。24時を回っていたので寝る、が、眠れない。めちゃくちゃんに働いたので、体の時計がおかしい。起きて本を読む。適当に取った「探偵暁に走る」東直己。もう何度も読んでいる。

この話では認知症のお年寄りと、それを食い物にする詐欺グループが出てくる。判断能力の衰えたお年寄りに、よくわからないものを売りつけ、年金からクレカまで押さえる。死なないように月2万渡す。鬼畜の仕事だ。

だが、似たようなことをしていたじゃないかと思った。

郵便局の保険屋さんになった時の話だ。研修を受けていて、そこには優秀な先生や先輩が話をしてくれる。その中で忘れられない、こんな話があった。

「実績に困ったらね、行く家があるんですよ、実績が解除されない半年たった契約を解約させて、新しい契約をとるの、いい人でね、そうゆう家があるんです」

ナイショ話って感じでその優秀な人は話してくれた。聞いていて血の気が引いた。でも、聞かなかったことにした。その話を理解してしまったら、仕事を辞めなければならないと感じていたからだろう。

結局郵便局の保険屋さんを3年やって辞めたわけだが、幸いなことにクズな営業だったのでそんなお客さんには出会わなかったし、契約をとったこともない。それから20年ほどたって、かんぽ生命の悪徳営業は社会問題となった。当然だ、遅すぎる。俺はいろいろやって、なんとなく介護職員として落ち着いてきた。いまならわかる、あの、郵便局員の言いなりになって契約を結んでしまうお客さんってのは認知症を患っているのだ。

認知症になると、いろんなことがわからなくなる。「なんもわからなくなった」と言い出す。短期記憶が保持できなくなり5分前のことを忘れる。半年前の保険契約など、忘れているに決まってる。

でも、そんな高額な契約のことを自分が忘れていると人は信じることができない。だから取り繕う。物わかりのいい人を演じてしまう。言われるがままハンコをつく。認知症のあるある「取り繕い」が出てくる。

認知症を患っていると、外部の人間が来た時に限ってシャンとする。普段はシタの処理もできないのに、ういういしく天気の話をしたりお茶を出したりする。

そーゆー弱い立場の人をだます仕事からとっとと逃げ出すことができて、本当によかったなあと思う。モンエナが寿命をぐいぐい削っているし、金なんてあんまりもらえないけど、本当によかった。大切なのは人生の長さでも金の量でもない。プライドでもいい女でもでかい車でもない。積水ハウスでもボーダーコリーでも国産黒和牛200g2600円でもない。タワマン、メロウな時間、友人同士のちょっとしたパーティ、あなたを癒す本当の宿、心きらめく春の旅、職人が握る寿司、1800年代のメルロー、プレミアを見ないなんてもったいない!、高級コールガール、フェラーリ、フジテレビと電通博報堂港区女子の飲み会、行きつけのシーシャバー、ふわっふわパンケーキ、これからはAIの時代!、〇〇の民度、あと、まあなんだっけ、酔っぱらって忘れたけど愛してるよと言っといて。