モトハチ(元蜂の宿管理人のブログ)

閉鎖したライダーハウスの元管理人のブログです

札幌、札幌

林家たい平師匠の独演会があり札幌まで行ってきた。

独演会は午後17時開場だが、朝早くから起きて、バイクで旭川駅までかっ飛ばし、駐輪場にバイクを駐車、バス停で高速旭川号に乗り込む。音楽を聴きながらぼーっとしていたら札幌だ。そのまま大通公園を西に歩くと札幌地裁があり、適当な刑事裁判を傍聴する。久しぶりの傍聴だ。緊張感が神経を刺激する。このための早起きなのだ。

裁判は道交法違反で、平凡なものだった。おかまを掘ってしまった被告。ドライブレコーダー。「まじかよ」という被害者。「すいません、ここじゃあ邪魔なので横に寄せましょう」と被告は言い、そのまま逃走する。もちろん逃げ切れるわけもなく、被告はその後自首する。「飲酒や覚せい剤はやっていなかったんですね?」と検察がいう。被告は覚せい剤の前科があり、そのことで雇い主からチクチクいわれていたのだ。「やっていません、考え事をしていて、つい事故を起こしてしまいました」という。被告がそういうのならば、そうなのだろう。

「もし、やっていたら『逃げ得』になってしまうじゃないですか!」と俺の中の裁判官が言うが、現実ではそんなことはできない。そんなことに社会のリソースを割く意味がないからだろう。

裁判傍聴は午後もあったがなんとなく飽きてしまい、札幌を散歩することにした。北大の植物園が近くにあったので行くことにする。市内にあるとは思えない大きさで、巨木が至る所にあり、ついでに博物館もあった。とても良いさんぽコースだった。

それから町の至る所にあるレンタル電動チャリを使おうと思った。が、なぜかクレカの認証が通らずあきらめる。その後時間までダラダラと歩く。時間になったので会場まで行き、当日チケットを購入する。落語のチケットなんて楽勝だと思っていたら、ギリギリだった。さすが、と思う。

落語は期待していた通り面白かった。大学を卒業するころ、落語家を目指すかどうかを試すため青春18きっぷを買い、東北まで行き、老人ホームなどに営業をかける。そんなことを続け、いろんな人に親切にしてもらい、落語家になる決心をする。いい話だ。

で、中座で弟子の女性が三味線漫談をやる。彼女の腕はよくわからない。普通だと思う。そんなことを考えるのは、以前、桂文鎮の中座でも三味線漫談があり「人生を三味線にかけた人です」と文鎮師匠が言ったように、すごかったのだ。老齢の彼女は檀上でぎりぎりまで弦を引き絞り、その三味線からは鉄の音がした。人生をかけていなければ、こんな音は出ないのだろう。

2人の三味線について考えながら帰りのバスに乗り込む。大学4年間を過ごした街にサヨナラをする。あの時も、この古臭いバスセンターから地元に戻ったのだ。その時のことを思い出し、いったいこの町から俺は何を学んだんだろう?と考えた。

***

それから1週間後、天気は良いが爆風で登山どころではない休日にまた札幌に行くことにした。札幌ドームで野球を見る最初で最後のチャンスだった。今回は1000円高いJRの特急で向かう。らくー

札幌駅につき、隣にあるレンタルちゃりに向かった。「ここ、ママチャリしかないよ」と受付のおじいさんが言う通り、ほんとうにギアもついていないママチャリしかない。が、やすい。1日23時まで使って500円。久しぶりにママチャリに乗る。とても楽しい。

向かう先はやはり札幌地裁で、強制わいせつがあったので傍聴する。証言台は目隠しされ、被害者の質問のようだ。被告もやってくる。被害者はとてもつらいとおもう。弁護士が質問を始める。「ラインのメッセージで『シャワー浴びてくるね』という文字のあと、サルが恥ずかしがっている顔文字を送ってますね?」「意義あり!恥ずかしいかどうかはわかりません!」と世界一どうでもいいことで検察が異議、異議とおる。どうやら、生保レディがまくら営業のようなこと(私の主観です)をして、被告がNSでやってしまったようだ。元保険屋としては被害者に同情するが、同じ男としては被告に同情する。こんなことで呼び出された裁判員にも同情する。裁判はおそらく数日にわたっているし、すべて税金で運営される。傍聴するのは納税者の権利で、途中退席するのも権利だ。駐輪場にとめてあるママチャリにまたがり、途中中島公園豊平館を見学し、札幌ドームまで激走した。

ドームは巨大だった。この巨大な建造物を維持管理する大変さを想像する。ファイターズガールはかわいかったし、きつねダンスはあざとかったし、ビールの売り子もかわいかったし、隣に座った望遠カメラのお兄さんは野球よりも女の子を激写していた、ちらりと見たがとても上手だった。初めて内野席で野球をみたが、玉の速さに驚く。テレビで見ていたらストレートに山はって変化球をカットするというあたりまえの技術が、いかに天才的な感覚で行われているかよくわかった。試合展開はよくわからなかった。やはり、野球はテレビで見たほうが面白い。消化試合だし、会場の盛り上がりはないのだ。5回で席を立つ。

帰りはほぼ下りで、道幅は広く、夜風も温かく快適だった。特急に乗り込むと泥のように眠る。いい運動をした。