認知症になり脳が委縮するとさまざまな弊害が起こる。代表的なのは記憶障害で「わからない」が口癖になるのだ。新しい記憶から失われて行き、自分の周りはわからないもので囲まれてしまう。年齢、住んでいる地域、近親者、そして言葉だ。
論理的思考ができなくなり、コミュニケーション能力を失う段階がある。この段階に行きつくまで、人はもう様々な苦行の道をたどるのだと思った。
それはもう、徐々に遠くの国に飛ばされていくようなものだと想像できる。知っている場所、人がどんどんいなくなり、言葉もどんどんわからなくなっていくのだ。それはそれは不安だと思う。
そんな状態のお年寄りの目の前に、とつぜん「物忘れに効く」というサントリーの錠剤のCMが流れてくる。そりゃ買うよなあ・・と思った。どんどん忘れていく恐怖の中に、とつぜん光が差すようなものだ。全財産をなげうっても買うんじゃないかと思う。
世の中には、きっとこんな老人向けの商売がいっぱいあるのだろう。なんといってもお金をもっているし、騙しやすいし、不安をあおりやすい。格好のターゲットだ。金が欲しければ老人を騙せばいい。そこまでして欲しい物なのかと思うのだけれど。