モトハチ(元蜂の宿管理人のブログ)

閉鎖したライダーハウスの元管理人のブログです

太田山神社と雷電の沢に行ってきた

美瑛町から350㎞、道南の瀬棚にある太田山神社に行ってきた。

 心配なのは天気で、台風がどどんと九州を通過しているのであった。その影響か北海道でも雨が降っていて、今金町あたりまで雨がふり「こりゃ、ちょっと無理かなあ」と思っていた。

が、日本海にでるとスカッと晴れた。太田山神社はすぐに見つかり、そそくさと準備をして登った。噂通りのえぐい階段、日本一の名に恥じない道、そして最後の鎖場まで最高だった。急激に標高を上げるので、途中2回ほど足が止まった。「さすが、日本一参拝の難しい神社」と思った。

沈む夕日を神社から眺めた。絶景だった。

ロープをフルに使って降りる。とても速く降りられた。なんとか日が沈む前に車にもどる。これから岩内町まで行かなければいけない。2時間以上走った。

岩内ではリンちゃんと待ち合わせていたのだ。先週、一緒に電気の沢に登った仲である。電気→雷電。びりびり。

岩内の夜は楽しかった。清寿司の支店に入り、刺身盛りを注文する。ウニやツブが絶品だった。そこから近くのbarで飲む。明日は5時30起き。

蒸し暑い車内で悪夢に起こされた。美人局に遭う夢だった。蚊の羽音で現実にもどる。歯を磨いて、着替えて、雷電岳へむかう。

車をデポして、海に向かう。ここは海から始まる沢なのだ。そして、この海が、今回最も命の危険を感じるポイントだった。

岩壁を超えようとしたところで、高波がやってきたのだ。体を流されないように岩にしがみつき耐える。こりゃやばいと引き返し、高所に避難した。それから1時間、じっと波を見ていた。でかいでかい、くるぞ!という感覚。岩を乗り越え、三角波となり渦を巻く。それがとても力強く美しい。いつまでも見ていられる、それは今回の企画の撤退を意味するのだが。

ベテラン2人はじっと波を見続け、作戦を決めた。トップをoさんが持ち、走る。ビレイを林ちゃん。俺は間のお荷物。まずoさんが走った。合図の笛が鳴るが、波が恐ろしくておれの足が進まない。「いま、行けますよ」「これ行ったらチャンスです」という林ちゃんの励ましがあり、なんとか突破できた。岩の向こうはすぐ高所になっており、波をかぶることは無かった。

もう1つ、波の難所があった。情報では崖をへつるか、海を泳ぐかという2択。岩が海に張り出していて歩くことが出来ないのだ。そしてこの波である。波を被れば岩に叩きつけられ、そして沖にながされるだろう。

タイミングを見て走る。張り出した岩にはホールドがいくつもあり、へつるのは問題なさそうだ。問題は時間である。まごまごしていたら、高波に殺されるだろう。自分の意識はそこにしかなかった。岩を超えるとプライべーどビーチのような入り江があった。再び、波が高くなった。

命が流されずに、ここまでたどり着いたのだ。その安堵と、この綺麗な海岸がたまらない。後ろにはF1の滝がある。あとはこれを登ればいい。とにかく、まだ死んでいない。

3人で雷電の沢を登った。どれも楽しく、美しい。1度ドボンした。それも楽しかった。

最後のショルダーの滝では、あえて難所を通過する。滝の裏から岩にアプローチ。誰かの肩を借りなければクリアできないポイントだった。ファイトイッパーツ!

ゴールは廃業した温泉。スタート地点に戻り着替えていると雨が降ってきた。それも雷が鳴るような、激しい雨だった。本当に天気に恵まれたと思う。人気の定食屋でサーモンハラス定食を食べながら思う。

神戸に戻る林ちゃんとはここでお別れ。俺たちは美瑛まで戻る。交代しながら、300キロ。夜に家に着いた。次の日は仕事である。とても充実している。夏をやってきたと思った。