彼女Aが軽自動車を手放すことになった。
旭川から美瑛にやってくるための、貴重なアシだった。
だが、仕方ない。
「コルトいる?」と聞いたら「軽がいい」とのことだ。
しゃーない、買うか。
第一の車屋
初めに向かったのが、小さなガレージのような会社。
グーグルマップで確認するも、路地に面している小さなところだ。
一応電話して訪問する。
工場の目の前で路駐すると、工場長らしき人が出てきた。
「電話したものです」といい、予算と伝えると、あれこれ見せてくれた。
「これね、まだ汚いけど、綺麗にして、まあ予算になるぐらいだから」
「ネットでみたラパンはどこですか?」
「ああ、それね、東旭川にあるんだよ」
「東旭川!」
「で、これからご案内しようと思ってるんだけど、時間大丈夫?」
「大丈夫です、お願いします」
と工場長の車についていく。仕事もあったろうに、申し訳ない。
東旭川は、動物園により近い。20分ほど走った。
線路わきの土地に、車が無造作に並べられていた。
お、あれだ。
走行距離2.2万キロ、平成16年式、車検やって40万。
「なんで、こんなに安いんですか?」と聞く。
「いやねえ、ラパンって中古市場じゃ不人気なのよ」
「え!そうなの?かわいいのに」
「物が積めないから、手放す人がけっこういるんだよね」
それから、走行1.6万キロ、平成25年式、60万のekワゴンをみせてもらう。
めっちゃ綺麗。
「これお買い得だよ、オークションで落とした時、やった!って思ったもん」
「なんで、手放したんですかねえ・・」
「高齢者の人だったらしいんだよね、だからあちこちぶつけてる」
「あ、ほんとだ、でもこんなもんすよね」
「そうそう、これぐらいなら直せるし」
最後に
「希望があったら、オークションで落としておくよ」と言ってくれて終了。
第2~4の車屋
次に、大きな中古車屋へ行く。車を止めると、セールスのさわやかさんがやってくる。あれこれしゃべって、さっきの車屋の話をする。
「それって、いいですね」
と本音トーク。ああ、正直で好きだな、この人。
「いちおう、うちにもラパンありますけど」
と見せてもらう。当然、走行距離はいってるし、値段も高い。
そりゃそうだとおもった、第一の車屋にセールスの給料や、ここの土地建物代のようなものは入ってないだろう。
MR-Sを見て感動する。いやあ、眼福。
正直なセールスに感心したあと、一応新車も見ておこうとおもった。
ダイハツのディーラーにいく。
U-Carはあるけど、当然高い。
セールスの人は、さっきとは真逆であまりしゃべらない。
誠実を売りにしているのだと思った。
「最後に、もう一軒だけ行っていい?」と彼女に言う。
軽自動車館にいってみたかったのだ。
ここも、ゆるい系の店だった。
だらだら歩いていたら、店主らしきおじさんが出てきて
「気になるのあったら言ってね」と遠くから見守ってくれた。
スーパーな銭湯に入って考える
ああ、疲れた。スーパーな銭湯があったのでそこに入る。
スーパー銭湯ではないけれど、湯船は何個もあるし、休憩室は広いし、アイスは100円。それに、混んでないから、すっごいゆっくりできた。
今日回った車屋について考える。やはり、最初の車屋が良かったと思った。
あれは、例えるなら「場末の居酒屋」だと思う。原価で物を売り、それに諸費用をくっつける売り方。ごまかしは効かないから安い。居酒屋の料理の価格にも、原価に諸費用、人件費、そして欲しい分がのっかってくる。そんな皿は重い。自分の居酒屋でも、なるべくなら、そんな皿を提供したくないと思う。シンプルが一番なんだ。できれば作った人と、提供する人が同じであればいい。第一の車屋は、案内してくれた人が整備して、オークションで落札して、販売してくれる。わかりやすい。
「1件目でいいんじゃない?」という。年式の古いアルトだから、いろいろ不具合も出てくるだろうけど、1件目なら立派な工場があるから安心だ。
古くても、なるべくシンプルなほうが良い。こんな銭湯みたいな。凝りに凝ったお風呂は無いし、工夫されたレストランもない、でかい露天風呂もないし、温泉でもない。
だけど、広くて、ゆったりと出来て、だれもせかせかしていない。プロ野球をみながら、1時間ほど眠りの世界に半分足を突っ込んでいた。