ライダーハウス蜂の宿

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すべてのモノには必要な対価がある

裁判傍聴に行ってきました。

「詐欺」とあったその事件の内容は、しょぼい事件と思ったら実にドラマに満ちたものでした。

 午前中の事件もそうでしたが、どんどん裁判に引き込まれていったのです。

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無銭飲食5900円の被害

手錠と腰ひもをつけられて入廷した被告は、30歳男性でドモリ症です。

時折裁判長に「もっとはっきり喋って!」と怒られてました。

そんな彼の罪はカラオケ居酒屋で5900円の無銭飲食をしたというもの。

私は「あー、つまんないかな?」と途中で抜け出す覚悟をしたのです。

でも、徐々に、被告のドラマに夢中になっていきます。

 

神奈川で9年間働く

被告の地元は神奈川で、そこで高校から9年間「海鮮どんぶり屋」で働きます。

フリーターといえど月収20万ほどもらっていて、実家に5万ほど入れていました。

彼女もいてそれなりに充実していたのですが、借金がありました。

友人に300万の借金をしていたのです。

「そんなにどうして?」と裁判長は聞きます。

「友人から、利子とかもあって・・」と、ここで法廷にいる誰もが

「あ、ウシジマくんみたいなやつね」と感じました。

そして彼の人生が急展開したのは、彼女の浮気からだったようです。

浮気の前に借金があったのか、借金をしていて浮気されたのかはわかりません。

ただ、付き合っていた彼女に浮気されたことがとてもショックでした。

9年間働いたバイト先を辞め、別の仕事を探します。

ただメンタルは深く傷ついたようで

「自暴自棄になってしまうんです」

と飲酒を繰り返します。

それも無銭飲食です。

そのたびに母親が金額を支払っていたようです。

彼はそんな母親から現金10万円を盗み、さらにバイト先から70万を盗みます。

これは冒頭陳述になかったので、ひょっとしたらはじめて告白したことかもしれません。(みんな「え?」ってなってた)

合計80万の金を盗み、向かったのは北海道の深川市でした。

 

ライン掲示板で知り合ったJKの家に住む

なぜ深川市に来たのか?というとライン掲示板で知り合ったJKがいたからです。

母子家庭のJKのうちに1か月半滞在しました。

ただ、それが青少年育成条例に引っかかり、深川署から「深川から出ていけ」と言われます。

この時の所持金は76円でした。

「盗んだ80万はどうしたの?」と聞くと

「酒を飲んだり、風俗で使ってしまいました」

ここでも自暴自棄になり、酒(キャバクラなど)や風俗に逃げたらしいです。

「1日10万くらい使うこともありました。」

まさに豪遊です。 

計画性がなく、快楽に弱い男だと思いました。

破滅的で、それでいて頭が悪く、力もない。

そんな彼は市役所から640円もらって旭川に来ます。

640円は電車賃です、旭川には「キャバクラのボーイと知り合ったから」来たらしいです。

おそらく酒を飲んで仲良くなったのでしょうが、そんなのは知りあいにもならないでしょう。

案の定、ボーイと連絡はつかず、彼の人生は旭川で詰んでしまいます。

そこでなにをしたか?

財布には76円しかない、知り合いもいない、保護を受ける頭もない。

そう、彼にできるのは無銭飲食しかないんです。

繁華街のカラオケ居酒屋で4曲歌い(何を歌ったのでしょうか?気になります)店を抜け出して別の店で無銭飲食を繰り返します。

ラブホテルに入って金を払わずに出ようとしたところ、捕まってしまったというわけです。

 

彼の未来

今回は母親もあきれはてたようで、無銭飲食の金を肩代わりするつもりはないようです。 弁護士を通じて手紙を送っても、返事は返ってきませんでした。

過去の無銭飲食ですでに執行猶予がついているので、今回実刑は免れないでしょう。

おそらく数年は入ることになるはずです。

「出所したらどうしますか?」という裁判長の質問に

「母の元に戻り職を探します。介護とか(介護なめるなと思いました)。」

「でもまた自暴自棄になるのでは?」

「趣味のフットサルやスポーツ観戦を楽しみ、もうそうならないようにします」

「どうして自暴自棄になるのかな?」

「それは自分に甘いからです」

「それはおかしい」

それから裁判長の説教が始まりました。 私は裁判長の大岡裁き(この使い方が正しいかはわかりませんが)にスタオベ(注1)したくなりました。

 

自分に甘く、嫌なことがあるとキャバクラに行って酒を飲んでしまう。

そんな人間を矯正することは裁判所では出来ない。

きっとまた繰り返すだろう、このままだとあなたは独りぼっちになって行くはずだ。

そんな冷徹なお言葉でした。

 

ときにはイジメも必要なのではないだろうか

なぜ彼は無銭飲食をするようになったのでしょうか?

お金がないのに酒を飲んでしまうのは、アル中だからでしょうか?

彼女に振られたから、ストレスがたまっていたから?

見ていて、もっと根源的な問題が彼の中にあると思いました。

裁判中にチラチラみえる彼の母親の影、では父親はいなかったのか?

おそらくいなかったと思います、そして母親は一生懸命愛情をもって彼を育て、立派な犯罪者を作ってしまったのです。

母親は立派な人だと思います、無償の愛を息子に注いできたのでしょう。

だからお酒を飲んではいけないけど、我慢ができない人間になったのだと思います。

すべてのモノには必要な対価があることを学べなかったのでしょう。

男なら嫌なことがあっても、ド根性で耐えなくてはいけません。

それを知るには鉄拳や暴力、訓練やイジメがあるていど必要なのです。

「男は男に生まれるのではなく、男に成るべき時がある。 そのためには男として調理されなくてはいけない」

というようなことを「バンビーノ」というマンガに書いてありました。

おそらく30歳を超えて出所した彼の未来は、ウシジマくんにタコ部屋にぶち込まれることでしょう。

それが男になるための必要な試練です、そして同時にそれまでの怠惰のツケともいえます。

30過ぎてそんな鉄火場をくぐるのはとても厳しく、悲惨なことだとおもいます。

まあしょうがないか、一緒に行っていたライダーは「エスポワール(注2)にいそう」と言ってましたが、なるほど、確かにいそう。

 

※注1 スタオベ : スタンディングオベーションの略。 クラッシックのコンサートの後などで「ブラボー!」とかいって拍手して立ち上がること。 裁判所でやったら退廷させらます。

 注2 エスポワール : 名作「カイジ」にて借金返済のための救済として、債務者が乗せられた船。 そこでゲームに負けると人生が閉じる。

 

 

 

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