何となく始めてしまった家のブロック塀の破壊工事。この基礎コンクリが硬くて硬くて泣きそう。その硬さ、ほぼ石である。いや、石は弱い部分があるからまだいい。基礎コンクリ、しかも鉄筋入りは人間が創造した石だからとにかく頑丈なのだ。
ガザの14階建てビル倒壊の瞬間、ハマス運営のテレビ局など入居（字幕・13日） (msn.com)
これとかどうなってるんだ。こんなに硬い硬い鉄筋コンクリートの塊を破壊する兵器の恐ろしさ。自重に耐え切れず下に崩れていくビル。爆炎と粉塵。人間なんて簡単にちぎれてしまっただろう。
こっちは兵器どころか、3000円（送料込み）で購入した古い電動ハンマーしかない。業者が使うようなでっけえピックとか、重機の先についているピックがあればこんなコンクリ30分で粉にできるんだろう・・・
これね。
まあ、ゼイタクは言ってられない。体をバイブレーションしながら電動ハンマーの衝撃を受ける。30分もやれば振動で痺れる。２ストのバイクに１時間ぐらい乗っている感じ。それから普通のハンマーでタガネを打ち込んで壊す。
鉄筋に沿って破壊していく。まるで魚を3枚におろすように。そう考えれば、実に生き物っぽく見えてきた。骨が鉄筋、コンクリが肉。
午前中やって終了。今日は夜勤だ。夜に備えて痺れた体を癒した。
夜勤に出発。触るとミントの香りがする花を持ち込んだ。「これから咲きますよ」というと嬉しそうだった。たぶん、こんなに嬉しそうにされることが、この仕事のやりがいなのだと思う。
仕事自体は、なんかもう、どうでもいいんじゃないか？と感じてきた。知識を蓄え続けても、それが利用者の笑顔に直結するとは限らない。わからないことがあれば、頭の良い人に聞けばいいのだ。データベースは結論を出さない。知識のアウトソーシング。
これは川なのだ。人間の体は川に例えられる。口から入る水分や食。排泄される尿や便。スムーズに流れる川もあれば、そこら中が詰まっている川もある。それを整備する仕事が介護、とくに夜勤だ。
1時ぐらいに落ち着いて、仮眠をとることができた。3時ぐらいからぼちぼちと動き出す。
眠いのは当然。というか眠い方がいい。カフェインで眠さを抑えるのは良くない。1Lのコーヒーを持ち込んだが、飲んだのは3口ぐらい。これでいいのだ。あとは水を飲んで動き出す。
起き出す順番も頭に入っているので、迷うことは少なくなった。ルンララ、ルンララ、ルンラララと動いていた。早番が来たので、あとはお願いする。
ああ、朝だ。美しい5月の朝。美瑛岳のピラミッドが見える。朝焼けに照らされていて美しい。バイクで家に帰る。当然眠い。シャワーを浴びて寝たら2時だった。
それからもちろん電動ハンマーを持ち、コンクリの破壊に取り掛かった。
まだ半分ぐらい。
「生きてていいんでしょうか？」と誰かに問うた。
「べつにいいぞ」と十勝岳が答えた。
