モトハチ(元蜂の宿管理人のブログ)

閉鎖したライダーハウスの元管理人のブログです

白雲岳へテント泊してきた

トムラウシ登山をしよう!と思った。仕事が始まる前ギリギリの2日間、無職の力で登ってこようと。

天気とにらめっこ、行けそうだったり、悪くなったりを繰り返す。3人ほど参加表明をしてくれたが、前日の夜にキャンセルしてもらう。

諦めきれずに、ほかの山を探した。北の方なら安定している。白雲岳に狙いを定めた。コースタイムは8時間、避難小屋もあるから安全、だが、参加者は集まらない。トムラウシのネームバリューは絶大なのだ。

一人で行くことにする、3時起き。5時~登山開始、きつい!

テントと、寝袋、食料の入った60リットルのザックがパンパンで、背負うと肩に食い込む。何度も登った道だが、こんなにきついのは初めて。10歩あるいては、休みを繰り返した。

水滴

4合目あたりで様子ヵ変化する。荷物にあったあるきかたを身体が発見したようだ。遅いが、疲れは少ない。ロープウェーの人達と合流する地点になり、人が多くなってきた。

「ドコまで行くの?」という会話が楽しい。「重いねぇ」と驚かれるのが誇らしい。

旭岳山頂には9時すぎについた。約5時間。コースタイム通り。疲れたので、寝る。クッションシートを広げると、快適だった。10時に起きて旭岳の裏に降りていく。

雪渓のなか、ゆっくり降りていく。曇りだから、一面の白。悪くない。幻想的だ。

上も下も白い

降りきるとキャンプ地で、間宮岳に登るルートが発見できなかった。外国人のカップルに道を聞く。彼らもよくわからない。また外国人が来たので聞く。スマホを見て「こっちだよ」とロープをまたいで歩き始めた。いや、ダメでしょ。

どうしよう、とおもっていたら、やっと日本人がきた、自然監視員の腕章をつけている、「少しのぼります」と、正規のルートを教えてくれた、急いで「カンバーック!」と彼らを呼び戻した。

心配になり、監視員と彼らで「どこ行くの?」と話す。「沼、お鉢」と言うからおそらく、中だけルート。不明瞭で注意の立て看があった場所だ。

大丈夫か、この人、と監視員と見つめあう。そんな我々を無視して、先に行ってしまった。もっかい、確認しようと後を追った。

思いにもつでダッシュする、不思議とつらくなかった、彼らに追いつき再度注意しておいた。

あーつかれた、後からきた外国人カップルと話す。「オルガンからきた」というので、そんな待ちがあるのかとおもったら、あ、オレゴンか。

狐がいた

ダくとジョアンと一緒に白雲岳へ。幻想的な曇の中を進む。目的地の避難小屋には14時についた、スケジュール通りだ。

お金を払って設営する、荷物を広げると要らない荷物が多いことに気づいた。もっと減らせたなあ…

小雨が降って来たので寝る。後12時間ほどやることがない。スマホでブログを書く。

白雲岳避難小屋

午前3時に起きた。着替えのインナーが無かったらヤバかった。気温は5度以下だろう、外に出るのに気合が必要な感じ。

暖かいものはインスタントラーメンとか、レトルトのおつまみとかを持ってきていた。昨日全部食べる。食うぐらいしかやることがなかったからだ。

水は全く飲んでこなかったので、湧き水をくむこともしなかった。まあ、だいじょうぶでしょ。いそいそとテントを撤収し、歩き始める。3時半だった。

体が重い。9時間かけて歩いてきた場所なので、それだけかけて戻らなければいけない。そんな当たり前のことに、気づいた。白雲岳はガスの中、今回は登らないでおこう。

急いで帰ることにする。昨日、テントの外で「明日、崩れるらしいよ」という話を聞いたから。雨には当たりたくない。テントの外の話を思い出す。

テントの外ではいろんな人が会話していた。山の知り合いのような人たちが「よう、昨日はどこいったの?」「1日中山頂?」「2日ほど忠別にいく」などと話している。山の人たち。面白いなあ。こんな世界があるんだ。

まるで、山に住んでいる人たち。素敵な人たちだと思う。どうやって、食料を確保しているのだろう?

そんな想像をしながら、白い世界を歩く。立ち止まると、無音。自分の心臓の音だけが響いていたた。それも収まると静寂の世界になる。

心臓のリズムに気を付けて、ゆっくり歩く。お鉢に登ったら、晴れ間が見えてきた。

朝の稜線歩きはご褒美タイムだった。そして、それが終わると最終試練。雪渓登りがある。昨日、ガスっていて迷ったポイントだった。

あれを登るのかあ・・・

雪を蹴り込み、一歩一歩進んでいく。ここで、スマホの目覚ましがなる。7時。サコッシュにしまうとき、ちょっと手を滑らしそうになってぞわっとした。下に落としたら、拾いに行く元気はない。

這いつくばるようにして、旭岳に登る。1日ぶりの北海道最高峰は、まだ誰もいなかった。

あとは、下るだけ。5時間かけて登った道を下りる。すぐに最初のロープウェイで登ってきた人とすれ違った。「もう登ってきたんですか?」「白雲泊ったんです」「そうですかー」などと会話を交わす。それが気持ちいい。「ガスってますけど、花が綺麗でした」という。高山植物は綺麗だ。そして、それを好きな人も良いなと思った。

外国の人が多いのも旭岳の特徴だ。昨日は2組の外国人と触れ合ったし、今日あったのはフランス人のおしゃれな夫婦。ちょっとそこまで散歩にいく恰好で登っていた。おしゃれだなあ。

ロープウェイ分岐を過ぎて、とうとう誰ともすれ違わなくなった。じっくりと歩いていく。脚は限界まで使い切っているので、10歩歩いて、1呼吸休んだ。外国人の女の子たちとすれ違う。「あとどれくらい遠いの?」と聞かれたので「だいたい3㎞、2時間ぐらい」と答えた。ロープウェイまでの意味、でも彼女たちは山頂について聞いたのかもしれない。まあ、いいか。

思考能力が落ちている。気持ちで歩く。下半身から力を振り絞った。おっぱい!セックス!おっぱい!セックス!と心の中で叫びながら足を動かす。なんとか、最後まで来たと思ったら、驚きの人物とすれ違った。

フランス人の若い夫婦で、イケメンの旦那さんに話しかけられる「足元はドロドロかい?」「いや、ちょっとだけドロドロだよ」でも、目線は奥さんのほうにロックオンしてしまう。

グウィネス・パルトロワのように美しい奥さんは、なんと赤子を抱えていた。そして授乳中。白くまぶしい乳房が見える。あ・・が・・・と声にならないが、がんばれーといって別れた。赤ちゃんも羽が生えたら宗教画の天使になれる可愛さ。

美しい自然の景色の後、最後に美しい人間を見れた。旭岳はどでかい山である。懐の広く、誰でも受け入れてくれ、かつ厳しい山でもある。こんな山が近所にあるということは、実に恵まれているのだと思った。

ギンザンマシコ、こちらを好奇心たっぷりに見ていた

今回は、テント泊の修業の意味もあった。そこで問題、改良点。

・テントはもうちょっと小さい物がいい。8月ならツエルトでいいかもしれない。設営の時間も勿体ない。

・着替えというか、パジャマ代わりのインナーは絶対必要。汗を拭くためのタオルもマスト。替えの靴下も必需品。これがあると、メンタルで違う。

・食料は重要だけど、要らないものは持っていかない。厳選するべき。1日分の余裕があればいい。

・ソフトシェルは神。風があるときは、ずっと着ていられる。

・三脚はそんなに必要ではない。でも、タイムラプスを撮る時などは必要かも。

スマホアプリの地図は必ずダウンロードするべき、旭岳の裏で道まよいになるとは思わなかった。

・カメラバッグは必需品。山は写真が楽しい。

・排水のペットボトルがあったほうがいい

もし、天気が良くてトムラウシに行っていたら、もっと厳しいことになっていただろう。重量を舐めてはいけない。また、レベルが上がったら白雲岳に行ってみたいと思った。