モトハチ(元蜂の宿管理人のブログ)

閉鎖したライダーハウスの元管理人のブログです

彼女たちに幸あれ

いま、時間がある。

仕事は、あまり入れていないし、プライベートな用事も少ない。雪が無ければどこかの山へ行きたいけど、昨日から一気に降りだし、根雪になった。

bi:yellという美瑛町の素敵スポットで読書をしている。とても暖かく、広々としていて、集中できるのだ。

今日も500ページの騎士団長殺し(遷ろうメタファー編)を読んだ。これを読むんは、集中力が必要だ。どんなに面白い物語でも、集中力が無ければ現実世界へキックバックしてしまうから。500ページは長い。

475ページぐらいを読んだところで、後ろの話声が気になってきた。集中力が無くなってきている。主人公が騎士団長殺しの真実に気づき始めたあたりで「っていうか、会社で働くってなくなーい?」と小鳥のようなハイトーンで話しているのが聞こえる。

ガラスの反射でみたら、ジャージ姿の女子中学生だった。「お金よりも、もっと大事なものってあるよね!」と耳の痛いことを言う。

平日の真昼間から、bi:yellでどっぷり読書しているおじさんのことは目に入っているだろうか?そのおじさんは、これを読み終わったら、悲惨な低価格で、かなりどうでもいい文章を書く予定だ。その内容を彼女たちが知ったら、きっと「給料っていいよね!」と思い直してくれるんじゃないだろうか。

 

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※写真に意味はありません

 

時刻は夕方になり、目の前の駐車場から車がどんどん出ていく。きっと誰かが出勤に使い、そして帰宅していくのだろう。私は「ああ、いいなあ。きっと今日も一生懸命仕事して、お金を貰ったんだろうなあ」と羨望のまなざしで見ていた。

 

 

そんなうつろう集中力に喝!最終ページをさっき読み終えた。物語は閉じ、現実世界に帰ってきた。

これから、所有するミツビシワゴンの為にも仕事をするつもり。その前に、フリーランスにあこがれる?彼女たちへの私のポジションを確かめておきたい。

・・・「幸あれ」

だと思う。ろくでもない仕事はいっぱいあるし、どれも一筋縄ではいかないが、やってみなければわからない。

とてもじゃないけど人に自慢できない仕事をしているけど、私には時間がある。読書して、何かを書きなぐる仕事をする時間。

それは私のような変態にとって、悪くはない仕事だ。とてもじゃないけどお勧めはできないけれども。

そんな気持ちを表現するには、きっとかなりの文字数が必要だし、それを書くテクニックも無くてはならない。

だから、ぎゅーっと圧縮して、圧縮して、圧縮すると。「幸あれ」の3文字になる。

何が幸せか?なんてその人以外はわからないし、その人にもわからないかもしれない。私はとりあえず、読書の時間があるのが幸せと感じている。

bi:yellは最高!美瑛ってマジで恵まれている/騎士団長殺しを読んだ

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美瑛町にはbi:yellという施設がある。

b1にカフェ、1Fには展示フロア、そして2Fにフリースペースがある。

wifiが無料で使えて、充電もできる。そして、真冬でも暖かく、駐車場も広くて使いやすい。

数年前にできたばかりで、元はデパートだった。そのデパートは私が来た10年前にはすでに廃業していた。「ここ、どうなるのかなー?」と思っていたら、こんな素敵な施設になるなんて嬉しいばかりだ。

おもに2Fでノマドしてる。子供が遊ぶ施設や、老人が碁を打つ施設、そして、麻雀部屋まであるので話し声はする。静寂ではないが、問題ない。

先ほども小学生がswitchを持ち寄って遊んでいた。とても楽しそうで、聞いていてほっこりした。子供たちが集団で時間を潰せる施設は、きっと全国どこにでもあるのだろう。だけど、ここほど充実しているのはなかなか。

年齢層が幅広いのもいい。中学生や、進路に悩んだ高校生もやってくる。今日も受験勉強っぽいJKがずっと横にいた。がんばれ。

そんな環境で、村上春樹の「騎士団長殺し」を読んだ。

ファンとしては「あ、あのモチーフに似てる」と感じるところはある。が、それで問題ないのだ。村上春樹だなあ・・と感じれればそれでいい。

もっと、村上春樹のコピーみたいな作家が生まれればいいと思う。

 

「こぴー」と彼女が言った。まるで、初めてこぴーと発言したかのように。

 

みたいな。

 

それから5000字ほど書いた。これで、今日のコーヒー代と、銭湯代と、家からのガソリン代にはなるだろう。

これが、旭川や、地元深川だったらこうはいかない。まず、bi:yellのような恵まれた施設は無いし、あったとしても遠く離れている。図書館もすばらしい。美瑛になくてほしいのは、地方裁判所ぐらいだ。

 

キングコング西野「革命のファンファーレ」を読んだ

ものすごく切れる人の書いた、クラウドファウンディングや、これからの売り方、信頼の価値について。

「いいものを作るなんて当たり前、それを売って人に届けないと価値はない」という主張が好きでした。

内容は、これからのお金と信頼について。「良いものを作るのは当たり前」という前提から「それを人に届けないと無価値」とバッサリするのが斬新で、さすがだと思った。

感覚が新しい。

他の誰とも似ていない。

「行動は勇気でするものじゃない」といい「情報が足りないから行動しないだけだ」という。

その心は?

「子供のころは電車に乗るのも勇気が必要だったけど、いまはそんなことないでしょ」

インターネットで、すべてがガラス張りになった現在。原価を隠して物を売るのは厳しい。

だから、とにかく多くの人に見てもらえるようなコンテンツを作り、マネタイズのポイントを後ろにずらす。

おおおおおおお

読みながら、がってんがってんと膝を打ちまくってました。

その流れで、旭川にある雑誌社にメール

「裁判傍聴ライターになりたいのですが、無料で書かせていただけないでしょうか?」と送りました。

まあ、どーせ無理だろう。でも、怖くはない。

今日はタレント本を3冊読んで、いろいろ感銘を受けた。この気持ちは長続きしないかもしれないので、今のうちに行動しておこう。

感動は忘れるかもしれないが、行動したことは残るからだ。

松本ハウス「統合失調症がやってきた」を読んだ

素晴らしい本だった。

ハウス加賀谷統合失調症を患っているのを、どこかのTVで見たことがあった。

その本を図書館で発見したら、もう、すごい面白かった。

相方の松本キックが文章を書いているのだが、その文章の読みやすさといったらスゴイ。

それに加賀谷の見た目やキャラクターを知っていることも、読書の助けになった。芸人本の強みだと思う。

気軽に読み始めて、止められなくなった。230ページをあっという間に読んでしまった。こんな体験は久しぶりだ。

本は加賀谷の人生を凝縮してつづられている。

中学生の時、幻臭に苦しめられる。

「加賀谷臭い」という声が、常に後ろから聞こえるのだ。

グループホームにはいり、そして、芸人になるために飛び出す加賀谷。キックさんとの出会いは、もう、感動した。それから売れっ子になる。

芸人加賀谷を乗りこなせるのは、松本キックしかいないのではないだろうか。

それぐらい、松本ハウスは面白かった。

電波少年インターナショナルで、加賀谷が世界に行く番組を見たことがあるだろうか。あれはもう、いまではぜったいできないような、ハラハラした番組だった。

そして、精神のバランスを崩して、10年の療養に入る。

その記述が素晴らしい。そして、良い先生に出会って、加賀谷は退院。アルバイトをしながら、芸人復活への道を探る。

そのあたりから、突然会話形式になる。それが斬新で面白かった。

深刻な病の話をしているのだけれど、やはり漫才の呼吸で読めるのだ。

現在の松本ハウスは、統合失調症の理解を広めるために活動しているらしい。【巻末コメント】より。

がんばってほしい。そして、素敵な読書体験をありがとうございます。