素晴らしい本だった。
ハウス加賀谷が統合失調症を患っているのを、どこかのTVで見たことがあった。
その本を図書館で発見したら、もう、すごい面白かった。
相方の松本キックが文章を書いているのだが、その文章の読みやすさといったらスゴイ。
それに加賀谷の見た目やキャラクターを知っていることも、読書の助けになった。芸人本の強みだと思う。
気軽に読み始めて、止められなくなった。230ページをあっという間に読んでしまった。こんな体験は久しぶりだ。
本は加賀谷の人生を凝縮してつづられている。
中学生の時、幻臭に苦しめられる。
「加賀谷臭い」という声が、常に後ろから聞こえるのだ。
グループホームにはいり、そして、芸人になるために飛び出す加賀谷。キックさんとの出会いは、もう、感動した。それから売れっ子になる。
芸人加賀谷を乗りこなせるのは、松本キックしかいないのではないだろうか。
それぐらい、松本ハウスは面白かった。
電波少年インターナショナルで、加賀谷が世界に行く番組を見たことがあるだろうか。あれはもう、いまではぜったいできないような、ハラハラした番組だった。
そして、精神のバランスを崩して、10年の療養に入る。
その記述が素晴らしい。そして、良い先生に出会って、加賀谷は退院。アルバイトをしながら、芸人復活への道を探る。
そのあたりから、突然会話形式になる。それが斬新で面白かった。
深刻な病の話をしているのだけれど、やはり漫才の呼吸で読めるのだ。
現在の松本ハウスは、統合失調症の理解を広めるために活動しているらしい。【巻末コメント】より。
がんばってほしい。そして、素敵な読書体験をありがとうございます。