いま、文章力の向上のため、その手の書籍を読んでいます。
そこで「なるほど」と思ったことです。
段落のカタチ
文章の段落には 形 があります。 それは以下のような3つに分けられるのです。
1つの段落には1つの言いたいこと(=トピック)があります。 「言いたいこと」とは、その段落での主張とか小見出しともいいます。 その「言いたいこと」が1、段落の頭に来るのか、2、途中にくるのか、3、最後に来るのかで段落のカタチが決定するのです。
それぞれのカタチには、それぞれ違った効果があります。 1つずつ見ていきましょう。
1、ピラミッド型
「言いたいこと」をまず先頭にもってくる形です。 まず段落の頭にそこでの主張があるので、とても理解しやすいのがこの形の特徴です。 先頭のトピックに続くのは、それを補足し、説明する文章なのです。 それらはいくらでも加えることができますが、あくまで「補足」なので主張と関係ないことを述べてはいけません。
2、砂時計型
基本的には1のピラミッド型だけで文章を作ることが可能です。 しかし、それだけでは単調な文章になってしまうので注意が必要です。 砂時計型は段落の途中に「言いたいこと」がある形です。 「言いたいこと」の前には「しかし」などでつなぐようになります。 この形の特徴は説得力があることで、トピックを強調したいときに使えるやり方と言えるでしょう。
3、逆三角形型
論理の一つとして「帰納法」というのがあります。 それはいろんなデータを参照して、一つの結論にたどり着くというやり方です。 人間の思考はこのタイプのカタチをしていて、最後に結論にたどり着くのです。 「刑事コロンボ」はドラマを見ている我々にとっては「犯人はこいつだ」と分かっているので1、ピラミッド型ですが、コロンボ本人にとって見たら3、逆三角形型をしていると言えるでしょう。 様々なデータをもとに結論にたどり着くのは、とても自然な流れですが、読んでいるほうは疲れます。 最後まで読まないと、「この段落では何が言いたいのか?」わからないからです。 なるべく意識して使わないほうが良いでしょう。 それが逆三角形型です。
「言いたいこと」はシンプルに
トピックはわかりやすいほうがいいでしょう。 そのほうが「この段落では何が書いてあるのか?」わかりやすいです。 わかりやすいトピックは、新聞でいえばタイトルに当たります。 新聞を読むときに、すべての文章を読み始める人はいません。 ざっとタイトルを流し見て「気になる」ものがあったら読み始めるものです。
わかりやすいトピックは「単文」です。 「単文」とはS+V、つまり主語と述語だけの文章です。 それは日本語に慣れている我々にとって、すこし幼稚な感覚を受けるかもしれません。 書き手はもっとオリジナリティのあるエッセンスを盛り込みたくなるでしょう。 例えば「私は働きたくありません」というトピックを書くとします。 それを「私の精神は月曜日、つまり労働を拒絶していたが、働かなくては生きていけないことも分かっていた」 みたいな装飾はちょっと重いです。 言いたいことはシンプルに、ズバン!とまっすぐ言いましょう。
でもシンプル過ぎてもダメなことがあります。 先ほど新聞の例を出しましたが、読まれる記事というのは「何が書いてあるのだろう?」と読者に興味を持たれる記事です。 読者をひきつけ、読んでもらうためには、読者の好奇心を刺激するような興味の出るトピックである必要があります。
サポート、つまり補足のルール
トピック以外の文は、その主張の説明になります。 それはデタラメに記述していいわけではありません。 ちゃんとわかりやすくするためのルールがあります。
1、時間 過去→現在→未来
2、空間 左→中央→右 など
3、単純から複雑
4、比較、あるいは対照
5、一般的から個別
6、クライマックスへ
つまりは順序を守ること。 そうすることで読者の理解はスムーズになります。
現実は刑事コロンボのようにいかない
文章を書くとき、その結論をしっているのは筆者だけです。 その結論は出し惜しみせず、なるべく早く書きましょう。 圧倒的筆力でもって、読者を引き込むことができるなら別ですが、一般的に文章を書くときは「わかってください」という姿勢で書くほうが伝わります。 読者の時間を奪わないためにも、結論や主張は早いほうがいいんです。
刑事コロンボだってそうでしょう。 ドラマを見ている我々は、すでに結論である犯人を知っています。 その上でコロンボ刑事の推理や論理を見るのです。 それは現実ではありえない、神のような目線です。
人間である我々は、知らないことは知らないのです。 だから「まず知ってもらい」それから「その説明をする」順番が大切なんです。 価格表示のないガソリンスタンドには入りにくいでしょう? そこがどんなに安くて、サービスが良くても「レギュラー1L120円!」という結論をまず提示しないことには、その良さを知ってもらうことはできません。
参考文献 三浦順治「英語流の説得力をもつ日本語文章の書き方」 創拓社出版
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