ライダーハウス蜂の宿

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となりの芝生は・・・

目が覚める。どこかの病室だった。「ああ、手術は終わったんだ」と思った。

 

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脱肛になった。もう数年付き合ってる気まぐれな肛門の病気なのだけれど、薬でなんとかやってきたのだ。今回も薬で治す予定「でも、ナカも見てみるから」と内視鏡を入れなくてはいけなくなった。

座薬で腸をからっぽにして、病院に行く。たったい1時間のドライブなのだけれど、キツイ。コンビニで休憩しないと運転が続けることができない。脱肛が爆発したのだ、鈍痛が集中力を奪っていた。

診察の時に「やっぱり切ることってできますか?」というと「ああ、大丈夫ですよ」とあっさりOK。ラインでライダーハウスの住人に管理をお願いして、紙パンツを売店で買って準備完了。昼には手術室に入ることができた。

 

四つん這いになる。麻酔を注入される。「痛みはないけど感触はあるかもしれません」ということだ。恐ろしい「鎮静剤入れておきますね」と点滴の穴からチューっとインサート。それから記憶がなくなった。

 

気が付くと病室のベッドで寝ていた。ナースコールで体制を変えていいか聞く。「ああ、あと10分で3時間ですから大丈夫ですよ」とのこと。なんと3時間も寝ていたらしい。

3時間が過ぎて立ち上がってうろつきまわることができた。細長い病棟を点滴を引き連れて歩く。コミュニティスペースで看護師さんと話した。「え、ライダーハウスってあの電車のですか?」「ああ、目立ちますよねー」「いいなー、あこがれるなー」とあこがれられた。私にとってみればいい病院の看護師のほうがうらやましい。肛門科だから人が死ぬこともないだろう。

 

でも悪い気は全然しないので「あはは、どーもー」と笑った。個々の入院費が心配で胃がギリギリいっているのだが、それはナイショ。ひたすら本を読んで過ごす。

次の日退院。入院代を含めて4万ほどだった。さて、帰るかと思ったら電話が鳴って車検代の見積もりができたとのこと。ついでに払っていく。

 

こちらも覚悟してたよりは安かった。10万ほどだったので、本当にありがたい。お金を下ろして払う。

 

居酒屋に必要な食材を仕入れたら財布が完全に空っぽになった。ハハハと乾いた笑いが出てくる。まあ、頑張るしかない。

 

美瑛では連休中のイベントで自転車のライドイベントが開催されている。そのせいもあってお客さんはなかなか。この時期にしてはいいほうだと思う。そのうちの一人が「8年前に来たことがあるんです」といった。

 

ハラグチさん

仕事は何をやってるんですか?と聞いたら八戸で航空自衛隊にいるらしい。「実は毎週のように北海道上空にいます」とのこと。大きな哨戒機でグルリと飛んでいるらしい。

8年前、彼はまだ学生で、私は美瑛に来たばかりの時。あの時は私もまだ30代そこそこで、パラグライダーに乗っけたりとか十勝岳に集団登山とかをしていました。

「いまも登山やってます、パラグライダーもやりました」ということです。ブルリと感動で体が震えます。こんな私でも他人の人生に影響を与えることができたのかもしれません。

私は40代になってあまりライダーを巻き込んで遊ぶことは少なくなりました。目先の金に目をギラつかせることが多くなりました。それでも「いいなあ・・あこがれるなあ」といってくれます。

いやいや!自衛隊で国境の警備をするほうがすごいでしょ!と言いました。「ですよね、隣の芝生は青く見えるっていいますもんね」うん、そうだよね。

 

哨戒機で北海道上空を飛び回る仕事は、つまりは命がけの仕事です。チームワークも求められるし、引退も早いでしょう。パイロットなら一つのミスで多くの命が失われます。どんなストレスなのか想像もつきません。

 

肛門科の看護師だってそうでしょう。病院はいつだってすごい人口密度で専門的な技術を求められるところです。そして閉塞的な空間にならざるを得ない場所ですから、私にはとても耐えられないでしょう。

 

だから私の役割は「青く見せる」ことではないでしょうか。現状や真実を伝える必要なんてどこにもなくて、現実を忘れさせるような憧れの存在になるべきです。つまりは、アイドルのような。そんな芝生になろうと思います。