地面から無限にわき続ける透明な虫。私は彼に「もやし」と名付けた。もやしはにょきにょきと1日/5㎝ぐらいのスピードで成長し、やがては言葉を覚えた。最初にしゃべった言葉は「死ね」だったか。私はもやしを根元からぶちりとひっこぬき、ごま油でたまごと一緒に炒めた。ごはんにのせて食べる。複雑なうま味が口内に広がってうまい。明日も生きていこう、そう思った。
で、何が言いたいかっつーつと日記です。
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職場で何かやれということで、クレープパーティを企画した。44年も生きてきて初めてのことである。クレープパーティを主催する一般的な常識、コモンセンス、提出する書類、通すべきスジ、政財界への根回しなどまったく不明だ。だから2度ほど練習した。不思議とうまくできた。クレープとはまあ、薄く焼いた小麦粉ウィズ牛乳なのだ。それに生クリームとか、アイスとかをトッピングすればうまい。チョコソースをいい感じでかけて、そこに粉砂糖を降らせれば完璧。食べ物は見た目が大切。それは長年やってきた飲食業で培った感覚。
で、実戦である。夜勤明けなので、一度寝た。昼に再度出勤すると、テレビで阿部元総理が凶弾に倒れていた。え、現実?おれいまからクレープ焼くんだけど?動揺。こんな気持ちではおいしいクレープなんて焼けるわけが・・・・・・・・いや、できるな。なんつっても、ただの小麦粉に牛乳混ぜて焼くだけだからな。ほかの職員にもやり方をレクチュアする。あっさりとマスターされる。俺の練習はなんだったのか・・・まあよし。クレープはオーバーナインティーンの利用者様たちのもおおむね好評でよかった。