自分がカヤックにであったのは20年前のことだ。田舎で郵便局員をしていたころ、古本屋に「サラリーマン転覆隊」の本を見つけた。ビーパルなどを読んでいたので知っていたのだが、北海道のこんな田舎の古本屋に、よくぞあったと今でも思う。この本は今でも大切に持っている。
今回も割と激しめの川だったので、下る前に読み返した。よし、沈が怖くてカヤックできるか!とメンタルを整える。
車でスタート地点に向かう途中。アドレナリンが出ているのを感じた。体の細胞が入れ替わり、精神構造が変化する。年齢を忘れて、これから攻撃的な川をやるのだ!と気合が入った。
いつもだったらゴール地点に車や何かを置くのだけれど、今回は1人なのでやらない。ランニングで帰ることにする。10キロほどの道のりになる。
カヤックを川に下す。すぐ先ではごうごうと瀬が音を立てている。この川最初の難所だ。岸壁に下り落ちる20mぐらいの瀬。Ⅼ時に曲がるポイントに倒木があることもある。ここをテンション上げて攻める。大丈夫だった。
だが、今回は水量が多い。1つ1つ、瀬をクリアして休憩しようと思っていたけど、とてもじゃないが止まれるところがないのだ。これは10年前の記憶にはない。たぶん、増水しているのだ。
水の上をなんとか漕いでいる。というか、ほとんど流されている。流されるスピードが速くて、コースを選択する余裕がない。忠別川の仰せのままにながされた。
高い波を乗り越える。白波を腹に受ける。横波を受けブレイズで立て直す。水がカヤックに入る。なんとか浅瀬に突っ込み休憩する。
大きな波を受け、轟沈。笑いながら流された。
スタートできるところまでポーテージ。その先にある波が怖い。撤退しようにもここは中洲だ。なんとかカヤックに乗らないと脱出できない。しばらく日向ぼっこして、ヨシ!気合を入れて進む。
大波をロデオのように乗り越える。すると堰堤があらわれた。このコースの中間地点だ。カヤックをロープで引き揚げ、草むらに寝転んだ。
ん、今回はここまで。天気のいいサイクリングロードをジョギングで帰る。