モトハチ(元蜂の宿管理人のブログ)

閉鎖したライダーハウスの元管理人のブログです

家を買え

食事介護をしている間、職場の若い先輩と話をしていた。話題は家の話になって「さむくないんですか?」とか聞かれる。私の家は築50年。寒くないはずはないのだけれど、なんといっても前住んでいたのは電車だ。ストーブをガンガン炊いていたら、天井の雪が解けて雨漏りしたという物件であり、水は確実に凍るから水道管に水を常時通せないところだった。そこに比べれば、今の家は「家」なので何も問題は無い。薄いガラス、吸水して弱体化した断熱材(そもそも入っているのか疑わしい)、風呂は室内露天風呂状態で、湯舟で限界まで体を温めなければ体を洗うのは厳しい。それでも満足に暖かいよ、そんな風に言った。

「私の家もらってー」という声が聞こえた。神?いや、Aさんだ。今年入居した利用者さんで、1人暮らしの家があまっているという。固定資産税を払うぐらいならもらってほしいと言っていた。水回りは工事してあるらしい。「買うべきだよ」と私は言う。先輩はアパート暮らしで、家庭は無い。家を買う必要はないだろう。だから「飽きたら民泊物件にして貸し出せばいいんだよ」と言った。そうすれば固定資産税ぐらいは稼げる。さすがにタダでくれることは無いと思うのだけれど、不動産屋だったら食いつきたくなるお話しのはずだ。

それに、家を買うことで、確実に変化が訪れる。家とは不思議だ。住む人間が家を管理しているように見えるが、人間が住む家に合わせて変化しているようにも見える。ライダーハウスをやる前、私はライダーハウスをやるような人では無かった。絶望を胸に、不安を泳いでいるだけだった。でもライダーハウスを初めて、ライダーハウスの形に歪んだと思う。家が住む人間を変える。

イイ感じの彼女がいる先輩に必要なのは家だ。隙間があれば、そこになにかが入ってくる。法務局の謄本に自分の名前が入るのも重要だ。不動産を売り買いすることで得られる経験や知識もバカにならない。覚悟も決まるし、自由度も増える。本当にいらなくなったらライダーハウスにしてあげるから、買え、と思った。

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