島に住んでいる夫婦の夫が重病にかかり、本土の病院に連れて行かなければ今夜にも死んでしまう。そこで妻は船を渡してもらう漁師を探すがあいにくの大時化でだれも船を出したがらない。そんな中、1人だけ出してもいいと言ってくれる漁師が現れた。知り合いでもなんでもない他人だが、唯一条件がある。それは妻を抱かせろというのだ。
1.抱かせる
2.ことわる
「さあ、あなたはどっち?」と先生が言った。人にはそれぞれの立場、考え方があるという授業だった。いやいや、1でしょ。と思ったら、1を選んだのは自分だけだった。自分の評価と株がぐんぐん下がっていくのが分かった。
「夫への信用とか、生き残っても夫婦の絆がなくなってしまうから」
というのがスタンダードな意見だった。先生はバランスをとるために「命が助かるのは1なので、私も1です」と言ってくれた。「そうでしょ?」とフラれたので「漁師側の立場に立つと対価が無さすぎるから」と答えた。株が底割れする音が聞こえた気がする。
命が最も大切で、それが助かるなら1だ。それには同意見だが、本当の理由は別にある。
1.その方が文学的でありエロい
物語として1.抱かせるを選ばないと話が進まない。ntrとしてもいい。ベルセルクの13巻あたりを彷彿させる話だ。それに、元気になった夫が体を汚してまで自分を助けてくれた妻に対して、より深い愛情を持つのではないか。
2.漁師側の目線が欠けている
この設問は妻の視点で書かれているからわかりにくいのだけど、これは脅迫だ。「あなたは夫を見殺しにするの?」と言っている。
だけど妻は気付いているのだろうか?自分のせいでこの漁師を殺してしまう可能性があることを。他人を殺すことは自分の死よりも苦しい。ほとんどの漁師が断るぐらいの荒波なのだ。夫の命が危険だからと、そのあたりが見えていないと思われる。
自分が死ぬだけではなく、夫が死ぬだけでもなく、他人を殺すかもしれないんだぞ?その覚悟はできているのか?と漁師は妻に問いているのだ。一言でいうなら「覚悟はできているのか?」なのだけれど、そんな言葉じゃ伝わらない。「はい!」と気持ちよく返事をするだけだろう。妻はまともな思考が出来る状態じゃない。冷や水をぶっかけて冷静になってくれと漁師は考える。
「抱かせろ」は妻を冷静にし、覚悟を問いている言葉だ。自分はそう思う。だってこれ、どうやっても性欲がムラムラくるシチュエーションじゃないでしょ。猟師がそんなシチュエーションじゃないと萌えない変態じゃない限り。