モトハチ(元蜂の宿管理人のブログ)

閉鎖したライダーハウスの元管理人のブログです

シャブのソムリエと椎名誠EVENAを読んだ

椎名誠の「EVENA」を読んだ。力の抜けたエッセイを書く人というイメージがあったが、武装島田倉庫というフィクションがとても良かったから、これも読んでみた。ややSFなハードボイルドである。エベナという向精神薬のようなものをガリガリ食べながら、男たちが争うのだ。まるでシャブだ。そういえば先日傍聴した覚せい剤取締法の裁判でもこんなことがあった。

「友達の家に行ったらテイスティングをしてくれとシャブを出してきた。俺はもうシャブはやらないと断ったのだが、トイレに行く間にビールに混ぜられた。だから反応がでてしまったんだ」

テイスティングを頼まれるほどのシャブソムリエがいう「もう二度とやらない」ほど法廷で力を持たない言葉はないだろう。タバコじゃないんだ。その程度の中毒性なら国が違法にしないのだ。週に3回はある覚せい剤裁判。裁判官も流れ作業だろう。

だから、シャブも国が管理して、1つ100万円とかにすればいい。本当の上級国民のみがたしなめる遊び。そんな妄想をしたくなる本だった。

悲観主義者は体験したことのない未来を嘆く。まるですべて知っているかのように。

 

日記。

認知の進んだ人は、毎日の設定がくるくる変わる。昨日は「今日はお葬式あるでしょ」と言ってきた。誰の?と聞くと「わからない」という。ぞわっとする。そして、この仕事が好きだと心の底から思う。彼女の心の中に入るような感覚で、世界を共通化させていく。できるかぎりのやさしさで、彼女の現実をつつんであげたい。そこに正解は無いのだ。

仕事の事を聞くことが少なくなった。わからないことは砂丘の砂粒ほどあるのだけれど、結局なんとかするしかないのだ。実際に言われた。「なんとかするんです」今日も山歩きの影響で武藤敬嗣のような歩行しかできなかったが、なんとか乗り切った。