モトハチ(元蜂の宿管理人のブログ)

閉鎖したライダーハウスの元管理人のブログです

天狗岳岩魚沢遡行

午前4時にOさんの所に行って、楓沢に行こう!というプランにワクワク。午前2時に起きて、スマホをポチポチするところから7月14日は始まった。天気をチェックする。今日じゃない、16,17日に最後の山登りを敢行するプランだったのだ。お天気はぐるぐると変わり、かなり微妙な状態だった。この日起こることを予言するかのようだった。

朝食を食べ、おにぎりを作ってOさんの家に行く。3時30分。美瑛から楓沢のある支笏湖までは4時間ぐらい。長いドライブにメンタルを整えていく。まあ、大したことはないだろう。それよりも、16~7日のファイナルバトルだ。トムラウシテント泊を日帰りにしたり、二ペソツ山にスライドするプランを考えていたら、Oさんが「ちょっと待って」とライン。どうやら、同行者の体調が悪くなり、それならもっとハードな沢に行こうということだ。げげんちょ。今日はロングドライブだけが問題で、ライトな沢だと思っていたからちょっとびっくり。ファイナルバトルに影響しなければいいのだけど、その確率は低い。私とOさんの2人で行く沢。ハードなことになるのは決まっているじゃないか。

ごめんごめん、とりあえず札幌。とタクシーだったら逃げ出したくなる朝の挨拶。タクシーと違うのは、交代で運転することだ。12号線をひた走り、札幌の南区にある定山渓に向かった。ここにある天狗岳という山から流れる岩魚沢を遡行するプランだ。ガイドブックには初心者向けと書いてあった。意外に思ったけれど、それは登りの話。この山には3本のコースがあって、その左から登り、真ん中の沢をつたって降りるという計画だった。沢は登るのは面白いが、下るのは大変。たいていの沢には滝があるからだ。ガイドブックにも沢を下る方法もあると書いてあるが、その難易度については言及していなかった。

さっぽろ湖に到着し、車を止める。いそいそ準備して8時ごろ遡行開始した。すぐにルートは見つかり、クライミングを開始する。天気は曇り。何も問題は無い。もんだいなのはそのあとだった。

2時間ほどで沢登りは源頭にたどり着いた。水は枯れ、ただの斜面になる。意外だったのは藪が少ないことだ。沢登りでは藪をこいで進むのが常識で、それが沢登りと言うものだと思っていた。この山には藪が少ない。おそらく、泥の斜面が影響しているのだろう。天狗山は泥が多く、とても滑る山だった。

沢登りでは沢靴といって、下がフェルトなどの素材でできた靴を履く。それは苔などにはグリップを発揮するけど、泥では無力だ。クロックスで圧雪アイスバーンを歩いているようなもので、立てない。斜度は40度ぐらいあって、草を掴みながら這い上がっていく。両手両足を使って、ちょっとづつ高度を上げていった。ボキン!とダケカンバが折れる。フキが根っこからとれる。泥のせいだ。樹木はほとんどなく、油断したら滑落するだろう。

そんな状況で、一番ありがたかったのは藪だった。いつもは嫌っていた藪が、この時は実に頼もしかった。藪は地下茎でつながっており、ちょっとの引っ張りでは抜けない。藪を掴んで登って行った。なんとか稜線に出て、足で立つことができた。すぐに登山道。「なんて、都会なんでしょう」だって、歩くことができるもの。斜面にはロープが張ってあるんだもの。これは都会。

カッコいい岩を見ながら山頂に行く。なんと沢登りをしてきたという奇特な人たちがいた。みな同じルートで、同じ目にあっている。誤解を恐れずに言えば、アホだ。ニコニコしながら、泥の斜面について語っていた。

そのまま、登山道で降りれば、それほど楽なことは無いのだけれど、もちろんやらない。都会を離れ、再び大自然に。泥の斜面に生えるフキの根っこに足を乗せ、何とか横にトラバースしていく。ボキリと折れて、1mぐらい落ちる。それを繰り返して、なんとか藪地帯に行けた。藪!なんて素敵に硬くて、頑丈なんでしょう!ああ!そして樹木も生えてる!

沢スジに入った。10mぐらいの崖があった。落ちたら死ぬ。だが、ボルダリングとしては初心者コースだろう。ウォールクライミングだったら、入門編。ポイントは、落ちたら死ぬってことだけだ。死が近くにあると、人は笑うらしい。降りきったら、ワハハと笑ってしまった。

そこから先は難しいことは全くなかったのだけれど、足の裏が長時間指圧され続けたせいで痛くなった。ひょこひょこ歩きながら付いていく。6時間ぐらいで車まで戻ることができた。それからラーメンを食べて、美瑛まで帰る。エナジードリンクを飲んで、ぐいぐい走っていた。三笠の山奥で接触事故に出くわした。数台の車が絡んでいるのか、まだ警察が来ていないので交通整理をやっている。事故はそれほど大きくはなさそうで、けが人もいなさそうだった。慎重に車を走らせる。日曜日に事故なんて、ごめんだ。もちろん、平日でも嫌だけど。

夜になり、美瑛に戻る。気になるのはファイナルバトルの天気なのだけど、また変わっていた。ひょっとしたら、今日が2019年の最後の外遊びになるかもしれない。まあ、それも仕方ないか。