モトハチ(元蜂の宿管理人のブログ)

閉鎖したライダーハウスの元管理人のブログです

自分の才能は他人が教えてくれる

西原理恵子「学校では教えてくれないお金のこと」を読んだ。

漫画で大体知っていたことだけれど、文章になると、その壮絶な人生が重さを増してくる。

特に高校編までの貧困時代と、美大生時代のエロ本営業時代がすごい。

美大に入って、自分の絵のレベルを知った著者が「最下位の戦い方がある!」として、エロ本に営業に行く話が好きだ。

漫画では当然コミカルに描かれているけど「自分のことって、自分ではわからない。例えば女の子だったら、鏡を見る時、一番良い角度で、一番良い表情をするでしょ?それは自分の本当の姿ではない」と文章では表現されている。

痛いほどよくわかる。

自分も、頑張って入った郵便局で、保険営業を希望して「自分なら出来る!」とイキってたけど、現実は最下位だった。

まじで?あんなに努力したのに?と初めて自分を知ったのだ。

あの売上グラフがなければ、一生自分を知ることはなかっただろう。

 

「自分の才能は他人が教えてくれる」と著者は言う。美大では最下位だけど、エロ本のカットはどんどん仕事が来たのだ。その時のサイバラの本(恨ミシュラン)を持っているけど、まさに狂犬、彼女でなければ書けない世界だと思う。

月収30万を超え、さらに麻雀業界で人間として成熟していく話も好きだけど、この、自分の才能は他人が教えてくれるってのが好きだ。

 

私は日曜大工が好きだ。小学5年生で「工作が得意な野澤くん」と紹介されたことを覚えている。高校生の学校祭で、工作するときも、自分より上手な人間はいなかったと思う。

ライダーハウスになって爆発した。収入を木材にブチこんで、やりたいほうだいやった。それを見た大家さんが「アイツは、すごい」と言っていたらしい(人づてに聞いた)。

小屋を作ったら、出来た。もう5年ぐらい立っている。

それでも、自分に日曜大工の才能が有るかはわからない。

 

ライターも、最初に「何書いてるの?」みたいな感じで言われてしまった。それからいろんなライティング案件に手を出している。ずっと続いているのは、フィクションもの。ライター業界では時間がかかりすぎるから稼げないと言われている。が、自分はこれがいちばん稼げる。クライアントも、常に募集しているから、きっとやりたい人や続く人は少ないんだろう。

 

いま、図書館の談話室でこれを書いている。小学生がゲーム実況のように喋っているのだけれど、とてもクオリティが高い。それを教えてくれる人はいなんだろうな。

 

ライダーハウスだってそうだ。何年か前に「良く耐えられますね」と言われたことが有る。まったく辛抱している意識はなかったが、自分だったらキレてますよということだ。

 

才能は確かに、どこかにある。問題は、自分でそれを認識できないことだ。