自分の場合やる気とかは無いほうがいい。
そんなもの、基本的にあるからだ。
なぜ、やる気があると、ダメになるのかわからなかった。
緊張が視野を狭めること、体を縮こまらせることに気づいたのが15年前。
それから、なるべく緊張しないようにしてきたが、ここ一番ではだめだ。
「失敗してはいけない」という条件が、自分を失敗に導く。
ライティングの仕事は、ある程度なれてくると「まあ、これだけ時間使ったし」と時給で計算して納品することがある。
結果主義ではあるのだけれど、そこらへんは商売だ。まあ、そのくらいの考え方のほうが、緊張しなくて済む。結果としてよい品になることもある。
だが、先週やった失敗してはいけない仕事はダメだった。意識してリラックスするように努めたけど、だめだった。苦しかった。
悩む。悩みは頭の無駄使いだ。いたずらにMPを消耗している行為にすぎない。だが、だめだった個所を考えることが止まらなかった。
頭が使い物にならなくなったので、今日は仕事を辞めてプールに行く。200mほど先にある、町民無料の温水プールだ。1コース独占で20分ほど泳いだ。
「自分はどうしたいのだろうね?」と泳ぎながら考える。「ライダーハウスを買う金、がほしい」「本当に?」「・・・・いや」「本当は何が欲しい?」「・・・・なにもいらない」
法務局のデータベースに、自分の土地を登記したいなんてこれっぽっちも思っていない。土地は土地だ。建物なんて作ればいいのだ。人生をかけてまで欲しいとは思わない。
俺は本を読んだり、文章を書いたり、プールに通うだけで幸せなんだ。それ以外は、なにもいらない。
駄文を書きなぐること。そのことに幸せを感じる。これは、料理にも通じる快感だ。
「ボム!」
と生まれて
「ポン!」
と消える。
そして、それはお客さんとのコミュニケーションだ。
作りまくろう。そして流されよう。ダメなら次へ行けばいい。
バガボンドの佐々木小次郎のようになりたい。水のように力まない、主張しない、こだわらない、恐れない。水のようになろう。