新型スーパーカブについていろいろ調べてみました。今回から採用になったスパイニースリーブについて解説しますよっと。
カブは私が郵便局に採用になってから深い付き合いのあるバイクです、仕事でもプライベートでも。真冬の北海道でカブにチェーンを巻いて、30kgはあろうかという郵便物を積載しスッテンコロリンしていたのはいい思い出です。
採用になった当時はまだ90ccのいわゆる「鉄カブ」でしたから、ステップがひん曲がろうがハンマーでぶったたいて直してました。局員たちのメンテナンスも適当で「うごかなくなったらバイク屋を呼べ」が合言葉でした。まあ、それで問題なかったのです。
2010年にカブ110シリーズが発売され、私も新車で買いました。郵便配達にも「カブプロ」シリーズが導入されて「みんな新型に乗りたがるだろう」とワクワクしていました。ですが現実問題おしつけあいでした。
原因はタフさです。鉄カブにくらべると110はプラスティックとアルミで出来ているので、氷の上を過積載で走るには向いていなかったのです。とくに象徴的だったのは、郵便局の車庫にオイルのスジが1本現れた時でした。
発見した班長は「なんだこれは?」とたどっていくと、1台の機動車(カブのこと)にたどり着きます。そのカブの下にはオイルの油溜まりができてました。その日乗った職員に聞くと「ステップがまがったのでハンマーで叩いた」ということでした。
ハンマーの衝撃でクランクケースを割ったのです。アルミですからね・・・
じゃあアルミエンジンは悪か!というとそうではないのです。
アルミエンジンのいいところ
・軽い!
・作りやすい!
アルミエンジンのいいところは何といっても軽さです。軽さはそのまま性能に繋がりますので、バイクで最も重いエンジンをアルミ化するメリットは間違いなくあります。
作りやすさもアルミエンジンの良さでしょう。鋳造技術やアルミ合金は進化していて、それはエンジンのパフォーマンスに現れています。
アルミエンジンの悪い所
・膨張率が違う
タフさは合金の技術とともに向上しましたが、どうにもならない問題に膨張率があります。鉄とアルミでは膨張率が違い(アルミのほううが2倍膨張する)熱くなった時に隙間が大きくなってしまうのです。
その隙間はエンジンの効率につながります。レーサー用のエンジンなどはその隙間が少ないように設計されています。そこでやっと本題のスパイニースリーブが登場するのでした。
スパイニースリーブとはなんぞ?
熱膨張の大きなアルミシリンダーと、熱望上の小さな鉄スリーブを組み合わせたエンジンの、膨張率の違いからくるスリーブ内面のゆがみを最小限に抑える「スパイニースリーブ(スリーブ表面の細かな凹凸が、熱膨張時に均等に引っ張られ、スリーブ内壁の新円度を保つ機構)」を新たに採用
さらに「スパイニースリーブ」をぐぐると
このページがヒットします。ホンダの鋳造技術でそれまで砂から製品を作っていたんですね。それを遠心力をつかったものに変えることで無駄な砂がでてこなくなるというもの。
「エンジンの性能関係ないじゃん」
と思いました。ははあ、さてはホラをぶっこいたな?と思ったのですが、PV狙いのブログ(自戒)じゃあるまいし、ホンダがそんなことはしないでしょ?どうやらこのページはスピンキャスト製法を説明したもので、スパイニースリーブのことはまた別の話。
さてさて、いったいスパイニースリーブとはなんぞや?
このページに当たりました。
熱膨張の違いでスリーブが変形
↓
凸凹を作ることで廃熱効率アップ
↓
より真円に近い形になる
ということです。やはりエンジンは廃熱が命のアイテムなのであります。凸凹は表面積を増やして廃熱効率を上げるシンプル確実な方法。
んーでもよくわからない。もっとマニアックでいいから説明して!
ここが一番分かりやすい
このページが一番わかりやすいかな
エンジンは軽いほうが良い!
↓
じゃあアルミで作ろう!
↓
でもピストンは鋳鉄だから熱膨張がちがうよ?
↓
じゃあスリーブの外側に凸凹をつけよう
↓
廃熱効率アップ!熱くなってもスリーブの真円は保たれる(従来のスリーブ比較)
ということです。最初シリンダーとの摩擦部分が凸凹になっていると勘違いしてました。そんなことをする余裕なんてエンジン内部にはないのですね。
とにかくシリンダーとスリーブの摩擦をなくそう!ということに全力をつくしているのがエンジンです。
エンジン内部の摩擦に関しては少し調べるだけでマニアックな研究データpdfがいっぱい落ちているので、また勉強してレポートします。
さいごに、進化しまくっているスーパーカブシリーズですが、開発者が
「開発の最後には(最初のモデルである)c100に落ち着いてしまう」
という言葉が印象的でした。