保険の営業をしていた時に「決してお客様の正面に立ってはいけない」と教わりました。
向かい合うという状況は「対立」であるという理屈です。だから何か資料をだして同じ方向を向くか、玄関先にしゃがみ込むようにします。
そんな理屈を文章でも感じた話です。
Webライティングをしていて、文章力の話になると「言いたいことや結論を先に持ってくる」という手法が歓迎されます。
時間のない現代人がスマホで読むような文章は、とにかく時間を奪わないことが先決であると。
そのためには結論をまずもってきて、それからその根拠をのべることが望ましいという理論です。
私はこのスタイルに従って書いてきましたが、先日このようなことを学びました。
「数学ガール」や「数学的文章作成法」の著者 結城浩先生のコラムです。
先生は「いきなり読者の知らないことをぶつけてしまっているのではないか?」ということを指摘されています。
知らないこと(未知)をぶつけて、いい気になっているのではないか?知ったかぶっているのではないか?
それは読者の視点に立っているといえるのか?
つまり保険の営業と同じです。いきなり読者の知らないことをぶつけることは、正面に立って営業トークを始めるのと同じことです。
それよりもまず、読者の知っていること(既知)を投げかけて「うんうん、しってる、そうだよね」という同意を得るべきであると。
それから徐々に論理展開をすることで、読者の納得を得ることができるんですよ。
webライティングの基礎とは別の視点です。どちらが正しいのでしょうか?もちろんどちらも正しいのです。
大切なのは両方知って、場面によって使い分けること。できるだけ手段をもち、必要なときにいつでも発動できるようにすること。
それが技術なのだ。