モトハチ(元蜂の宿管理人のブログ)

閉鎖したライダーハウスの元管理人のブログです

裁判傍聴記:精力剤を買おうとしたら国と闘うハメになった男

ライダーハウス蜂の宿管理人のノザワです

裁判傍聴の記事になります。

1週間連続で裁判傍聴をして、最後の裁判がとても面白いものでした。

 

基本的に刑事裁判が起こるケースというのは

「勝てる」

と検事が判断したときになります。

事実を認めているか、証拠がそろっているから裁判を起こせると言えるでしょう。

なので大体の被告は起訴事実を認めたうえで

「もうちょっと軽めの刑でお願いします」

って弁護士とお願いするのが普通でしょう

 

ただ、この裁判は

「私は無罪です」

と宣言することから始まりました。

 

70代のマフィア(警備会社勤務)

「私は麻薬を輸入しようと思ったことはございません」

という被告の宣言に法廷はざわつきました。

「麻薬及び向精神薬禁止法違反および関税法違反」

という裁判の被告は70代のおじいちゃんで、検事は

「中国から共謀して向精神薬を輸入しようとした疑い」

という訴えです。

私は「善良そうに見えて、実はマフィアってこんな感じなんだな」と思いました。

冒頭にも書いたように、検事が訴えるということは事実をほとんど握っているからでしょう。 被告はやせ型で日焼けをした働き者の体をしているおじいちゃんです、とても悪事に手を染めているようには見えませんが、検事が訴えるということは・・・まあ悪い人なんでしょう。 

そんな思い込みの間違いに気づいたのは被告の無罪宣言、そして弁護士の陳述でした。

「○○さんは無実です。 ○○さんが向精神薬と思って輸入しようとしたのではなく、媚薬を輸入しようとしてその中にたまたま向精神薬が混ざっていただけです。」

 

初めて聞く無罪を勝ち取るための裁判になりました。

その流れはこんな感じです。

 

どうして向精神薬を輸入しようとしたのか?

被告、嫁とのセックスレスに悩む

友人から「この媚薬(ED治療薬)はいいぞ」と教わる

被告、いろんな精力剤を試すようになる

そのうち「イカ王」という精力剤が効くことに気づく

しかし「イカ王」が手に入りにくくなる(向精神薬が入っていることがわかり、輸入されなくなる)

被告、ネットで買うことを思いつく

「ハローびやく」というサイトから「イカ王」を購入する

それが関税に引っかかる

被告、向精神薬が含まれているとしらず、担当者ともめる

訴えられる

 

という事でした

 

つまり嫁をイワしたかっただけ

「うわあ、これ無実だ」

と聞いていて思いました。

愛する嫁をひーひーイワしたかっただけなのです。

それが悪いタイミングでいろいろつながり、国家を相手にケンカをしなくてはいけなくなったのです。

 

悪いタイミング

・「媚薬です」というのが恥ずかしくて、関税の担当者に「違法ドラッグだろ!」と間違われる

・「ハローびやく」のサイトに「麻薬」の記述はない

・たまたまそのサイトが中国からの輸入業者だけであって、別に知りあいでもなんでもない

・通関で止まっている郵便物を「再発送しろ」と焦らせた(そうすることで、過去無事に届いたことがある)

・マトリに「麻薬が入ってるの知ってるだろ!」と押され、気の弱い被告はつい認めちゃう

 

被告の過去

 

被告は美深生まれで、ずっと旋盤工をして暮らしていた男性です。

妻と子供2人がいて、子供が成人した後でも警備の仕事をする働き者なのです。

細身ですが体幹の強そうな体をしているのは、ずっとがんばって働いてきたからでしょう。

妻を愛していて、セックスは妻としたいようです「こっそり妻に媚薬をもったことも」あるらしいです。

「むしろそっちが問題じゃね?」と思いました。それぐらい被告は善良な男に見えたのです(午前中には20年不倫していた男の裁判を見ていたのでなおさらでした)。

とても共謀して中国から麻薬を密輸するようには見えません、第一国際郵便で自分の住所あてに送っているのです。

どこの世界に自分の住所に麻薬を密輸するマフィアがいるでしょうか?

ただ被告はマイサンを起立させたかっただけなのです。

それを愛する嫁にインサートしたかっただけなのに、なぜか国家とケンカするハメになってしまいました。

私は「がんばれ被告!」と初めて被告側の応援をすることにしました。

無罪を争うこの裁判は全4回の予定で、次回は9月25日、事件の発端になった関税の職員が証人に呼ばれるようです。

 

※※※

 

この裁判は日本一周(2週目)ライダーのトトロと行きました。

途中「ハローびやく」とか「イカ王」とかパワフルな言葉がでてきて、被告には悪いのですが笑いそうになりました。

それだけではありません。

この裁判にはなぜか「傍聴ツアー」の人たちも来ていて、紳士淑女が10人以上やってきていました。

さらには二人ほど記者っぽい人もいました、やはり刑事裁判で無実を争うって相当でしょう。

これだけ注目を集めた裁判の原因が「媚薬を輸入していると知られるのが恥ずかしかったから」というものなのが、また「人生ってヒニクだな」と思わざるをえません。

 

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